三菱UFJ銀行行員貸金庫窃盗事件の備忘録

事件

天下の三菱UFJ銀行内部で起きた衝撃の不祥事。身近な銀行で何が起こっているのか不安ですね。

初報:2024年11月22日

Bloombergの配信がYahoo!ニュース内では一番早かったです。


 三菱UFJ銀行の元行員が、東京都内の複数の支店で貸金庫から顧客の資産を着服していたと発表した。被害額は時価で十数億円に上る(中略)元行員は支店の店頭業務責任者だった。練馬支店(旧江古田支店含む)、玉川支店の2支店で、2020年4月から24年10月の約4年半にわたり、貸金庫契約者約60人の資産を盗んでいたとしている。(中略)顧客からの指摘をもとに同行が調査して10月31日に事態が発覚した。元行員が認めたことから、11月14日に懲戒解雇した。(中略)MUFGでは、21年に三菱UFJ信託銀行で元社員による顧客預金5800万円の着服が発覚している。ブルームバーグ(Yahoo!ニュース)より引用https://news.yahoo.co.jp/articles/baf527b02abd49b8a2397c5844ec35a8adb4b067?page=1


支店の店頭業務責任者ということは、いわゆる支店長ということですよね。客から預かった資産を十数億円も盗む支店長・・・・まるで映画みたいな話です。盗まれた方にしてみればとんでもないことです。

なんとYahoo!知恵袋で2021年に酷似事案の相談投稿が

三菱UFJ銀行ではないかもしれませんが、2021年9月29日にYahoo!知恵袋に今回の事件と酷似した内容が相談されています。貸金庫の信頼性については以前から懸念が存在していたようです。

 金融機関Aの貸金庫(行員が金庫室から契約者の金庫を取り出してくるタイプ)に入れていた現金約80万円を1週間の間に盗まれました。 通常絶対ありえないと思われますが、独自に調べた結果行員(金庫を開ける権利を持った人)なら盗める事がわかりました。

Aの支店長は「絶対盗難はありえない、スペアも作れない」との一点張り。スペアは作れることが可能な事は説明しました。 犯人も2人迄絞れていますが、警察は信用してくれず(証拠がない為)、被害届も受理できない(貸金庫からの盗難は常識的に100%不可能な為)との事。 防犯カメラでもある程度犯人が特定できそうなのにAの支店長(この人も怪しい)は調べる必要はないと。 (中略)

後で知った事ですが、Aの貸金庫に預けると「盗られる」という噂はあるようなので、実際に盗難は何件も起こっていると思います。 誰も何もできないようで、これは諦めるしかないのでしょうか。:Yahoo!知恵袋より引用 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14250164454?__ysp=6YeR6J6N5qmf6ZaiYSDosrjph5Hluqs%3D

時期がかぶっていることから、SNSではこの相談は今回の事件の被害ではないかとの憶測が飛び交っています。

貸金庫のセキュリティってどうなってるの?

貸金庫を使ったことがないのでピンとこなかったのですが、わかりやすい動画がありました。

テレビ朝日(Yahoo!ニュース)三菱UFJ行員の窃盗で注目 知られざる貸金庫とは 2024/12/11

銀行の場合は銀行の管理する鍵と顧客の管理する鍵の2種類を使わないとあかないようになっていたそうですが、顧客の管理する鍵の合鍵を今回の事件では使っていたと聞いています・・・それではセキュリティは無いも同然ですね。

2024年12月16日 金融庁が三菱UFJ銀行に報告徴収命令

三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫の顧客資産を盗んだ問題で、金融庁が同行に対し報告徴求命令を出したことが16日、分かった。:時事通信 Yahoo!ニュースより引用https://news.yahoo.co.jp/articles/b25224d7a5fc543c46002c721e03de2950e74615

報告徴収命令とは、事実関係や財務状況などの報告を要求することで、過去の例では報告をもとに業務改善命令などの行政処分となったこともあるようです。

虚偽報告は罰金や懲役になります。

参考:日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF016L50R00C21A3000000/

2024年12月16日 三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取が謝罪会見

三菱UFJ銀行からの会見で、事件の動機となる新たな事実が判明しました。

 半沢頭取は会見で、「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものと厳粛に受けとめており、お客様・関係者に心よりお詫び申し上げます。」と謝罪した。(中略)

盗んだ動機について半沢頭取は、「捜査に影響があるためある程度は控えなくてはいけない」と前置きした上で、「本人に調査したところ、今回の資金については、投資などに流用しているという供述を得ています」と話した。

また、この女性行員は、「大変申し訳ないことをした」と話し調査には協力的だという。 ただ女性行員は三菱UFJ銀行以外の銀行を含む複数の口座を使っているため、全容解明には至っていないという。

半沢頭取は、「なぜここまで犯行に手を染めて、これだけ多くのお客様の資金を詐取するような行為に至ったのか、十分な動機を把握できてないという状況です。これについては今後警察の捜査で明確になっていくと思います」と話した。

:FNNプライムオンライン Yahoo!ニュースより引用:https://www.fnn.jp/articles/-/802584

今40代のキャリアウーマンでメガバンクの都内支店長まで登れたということは、かなり優秀な人材だと思われます。大手企業が女性の管理職率を上げようと躍起になっている昨今ですから、銀行内では貴重な人材としてかなり大事にされていたのではないでしょうか。

しかし倫理的なところはどうだったのか、他にもそういった社員がいないか、顧客としては気になりますね・・・

謝罪会見を受けてのSNSの反応

巨額の資産を数多くの顧客から盗んでおきながら、逮捕も氏名公表もないということに不満を持つ投稿が目立ちました。

やはりメガバンクということもあり、かなり注目されているようです。

なぜまだ逮捕されないのか

元警察官僚の弁護士が、今後の見通しについて推測している記事を見つけました。

 発端となった元行員は懲戒処分こそ受けたが、現在も逮捕も書類送検もされていない。インターネット上では「上級国民だから罰せられない」「身内に甘い。だから被害届を出さない」などとの投稿も目立つ。

だが、元警察官僚で、秋法律事務所の澤井康生弁護士は「銀行や警察側に特段の意図があるわけではありません」と話す。

「被害金額が十数億円と大きく、この事件は必ず立件される事案です。ただ、現行犯ではないため、現行犯逮捕もできないですし、かといって緊急逮捕できるような状況でもありません。そうなると普通に裁判所に令状請求をして、逮捕状を出してから逮捕という流れになります」(澤井氏、以下「」も)(中略)

今回はわかっているだけで被害者は60人。おまけに被害額も大きい。全て準備するのにはそれなりの時間がかかるのだ。(中略)

窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金が科せられる。今回のように被害額が多い場合は罰金刑ではなく、実刑が予想される。

元行員は 4年半の間に何度も窃盗を行なっていることから、窃盗罪が複数成立する。その場合、併合罪が適用され、法定刑が加重され、刑の上限は15年となる。

「殺人と違って窃盗罪は財産犯です。被害金額が大きいということを加味しても、懲役何十年とはならないでしょうね。普通に考えたら懲役8年~10年ぐらいだと想像します」(中略)

「『銀行業』という業務執行の過程で、従業員が貸金庫の中のものを盗んだのが、今回の事件。銀行は使用者責任という、顧客に対して責任を負わなければなりません。元行員による被害額が十数億円だとすると、当事者である元行員だけでなく、法人も同額の賠償金を負う必要はある。

元行員が返せないとなれば、銀行がまずは顧客に補償することになります。その後、銀行が元行員に損害賠償を求める訴訟を起こしても、元行員に支払い能力がなければ銀行は泣き寝入りするしかないでしょう」

:マネー現代 Yahoo!ファイナンスより引用:https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/ff0b6ffab4eec472b55b0e08c60ffeab89bd660e

大手銀行が絡んでいるということで逮捕までは時間がかかりそうですね。

元行員の逮捕も重要ですが、使用者責任のある銀行側も含めて確実な賠償と、再発防止を確実にしてほしいですね。

今後の動向も注目です

頭取の謝罪会見では、初報で報じられた被害者60人のほかにも、数十人の顧客から被害の相談が寄せられているという内容がありました。

貸金庫という性質上、何がどれだけ盗まれたかを立証するのが難しいため、さらに捜査が難航することが予想されます。

再発防止がどのように確実になされるのか、今後の動向も注目したいですね。

ちなみに株価は・・・

今のところはほとんど影響無いようです。さすがに頭取の謝罪会見後の12/17の株価は2%弱下がったみたいですが・・・

2025年1月14日続報:犯人は逮捕されました

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